Research Projects

テーマの背景、全体像

光ファイバ増幅器および合分波器の開発により1990年代の光通信技術は大容量化に向け飛躍的に進歩し、実験室レベルでは10Tbit/sを超える超大容量通信が可能になっています。今後は、単なるある地点から他の地点への情報伝達から光ルーティング機能を持ったネットワークによるフレキシビリティの高い大容量な情報伝達に移行しようとしています。ここで必要になるのが広帯域光増幅器のほか、波長変換、高速光スイッチ、波形整形等の光信号処理技術です。伝送路とのマッチングの良い光ファイバを利用した信号処理デバイスの研究が行われていますが、効率に難点があり実用には程遠い状況です。

実用的な信号処理デバイスを実現するためには、導波路材料開発からの取り組みが不可欠です。しかし、材料開発のみでは、光デバイス用材料開発では不十分であり、材料特性を評価するにはその最終形態である導波路化し、その特性を評価してはじめて素材特性の評価が完了します。本研究室では、導波路化までを視野に入れた材料研究を基本としています。高機能光素子を実現するために必要な機能材料を開発するとともに、その機能のさらなる拡張を狙い、フォトニッククリスタルファイバ(PCF)構造や球状光共振器構造などの微小構造光デバイスも駆使して高機能光素子を創成することを目指しています。研究対象素材としてはガラス素材を中心とし、素材開発、素子の創成および特性検証を一連の研究プロセスとしています。

例えばPCFにより、光ファイバの新しい可能性を開く研究も進めています。PCFは、フォトニックバンドギャップを導波原理とするフォトニックバンドギャップ(PBG)ファイバと全反射を導波原理とするホーリーファイバに大別され、それぞれの特徴を活かした応用が考えられます。PCFの導波構造形成上の大きな利点は屈折率分布をつけるためのドーパントが不要な点です。また、大きな構造分散特性を実現できることから、石英ガラス以外の素材でも、 光通信波長帯に合った波長分散特性を実現できます。そのため、素材合成が導波路素子作製に結び付きやすくなったといえます。PCFと光機能材料との組み合わせで、光素子特性を飛躍的に向上させることが可能であり、光機能素子研究にブレークスルーをもたらすことを期待しています。

主な研究テーマ

広帯域光波制御・創生の研究を主要なテーマとし、非線形および活性イオン添加ガラスを基盤した光学素材の研究と素子構造の研究を進めています。光波制御の研究では、

  • 広帯域ファイバラマン増幅の研究
  • 誘導散乱を用いた高効率slow light 生成の研究
  • 光信号処理のための高非線形光ファイバ素子の研究
  • 希土類を用いた光波制御の研究

光波創生の研究では、

  • 新規活性イオンを用いた超広帯域レーザーおよび光増幅媒体の研究
  • 可視域光ファイバレーザーおよび光増幅の研究
  • 広帯域多波長光源の研究

に取り組んでいます(クリックすると各テーマの詳細へジャンプします)。将来これらの研究成果は、情報通信技術の発展を促進するだけでなく、加工、製造、医療、計測、極限光科学等の分野の発展の寄与につながると期待しています。

最近の主な卒業研究テーマ

  • 「Tb3+-Yb3+共添加フツリン酸塩ガラスの可視発光特性」
  • 「Bi添加シリケートガラスの発光特性の研究」
  • 「テルライトガラスのRaman増幅特性に関する研究」