チームスポーツ解析ーグループ行動認識

研究背景

グループ行動認識

グループ行動認識の研究をする理由として大きく分けて2つあります。

スポーツの技術的発展

多くのスポーツにおいて,データを使って戦術を練ることによって好成績が出ています.顕著な結果を出している例としては、野球があります。2017年 のメジャーリーグでは総ホームラン数が6105本まで急上昇しました。それまでの最多記録としては2000年の5693本であるので驚きな結果です。なぜ このような記録が出たのか紐解いていくと、実はデータ解析にあることがわかります。大リーグではトラックマンというミサイルの弾道を測定する 測定器を野球に応用することで打球スピードと打球角度を測定することができるようになりました。そのデータを統計解析してみると「バレルゾーン(Barrel Zone)」 という、打球速度が158キロ以上かつ角度が30度前後のとき8割の確率でヒットに、そしてそのほとんどがホームランとなる法則を発見しました。 そしてその情報をもとにメジャーリーガーたちがその「バレルゾーン」に従って打つ訓練を行ったことによりこの記録が誕生しました。このように データ解析によってスポーツの戦術が大きく変化し、好成績がでる事例が出ています。

私はこのようなデータ解析をチームスポーツに適応することにより、膨大なデータからどのような戦術をとることが得点につながるのか、そして最終的な勝利に つながるのかを見つけることが目標です(ビッグデータ解析によるチームスポーツの戦術解析)。これによりスポーツの技術はより発展することが期待されます。

スポーツの文化発展

現在、多くのスポーツにおいて様々な工夫によりスポーツ放送がなされています。顕著な例としては2001年のスーパーボウルでカーネギメロン大学 の金出先生の「Eye vision」が有名です。これはスタジアム上にグラウンドを取り囲むように設置した30台 のテレビカメラのパン・チルト・ズームを同期して制御、撮影する映像エフェクト技術であり、選手を360度の様々な角度から見ることができるようになりました。このようにスポーツ 放送では視聴者により楽しんでもらうため様々な方法が取り入れられています。

私は戦術やルールが複雑なスポーツにおいて,その戦術情報を映像に重畳表示することで,スポーツ放送の付加価値を高めることを目標としています。 バレーボールを例にして説明すると、ある位置でスパイクが決まったと仮定します。ここで今までの試合データを解析することで、今回スパイクが決まった 位置の成功率を映像に重畳表示することで視聴者は数値によりそのプレイが良かったのかを理解することがわかります。これにより専門的な知識がなく てもプレイの良さを理解することができるので、視聴者はよりそのスポーツに興味をもつことが期待されます。

この2つの目標をビックデータ解析による戦術解析で達成するため、まずその根幹の技術であるグループ行動認識を研究しています。