第36回高分子加工技術討論会
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大阪大学 大学院理学研究科

信岡 宏明 殿

「セルロースナノクリスタル複合材料の粘弾性に関する理論的考察」

植物由来のナノセルロースは環境低負荷かつ高性能な材料として注目されている。
本研究では、セルロースナノクリスタル(CNC)を高分子に複合化した際に引き起こ
される影響について詳細に検討した。CNCの複合化により補強効果の発現と緩和
の遅延が確認され、粘弾性と複屈折の同時測定から、これはCNC自体の特性に
由来していることを明らかにした。


滋賀県立大学大学院 工学研究科
坂口 紀彦 殿


「ポリ乳酸の結晶化および高次構造における分岐分子の添加効果」

一般に、線状高分子に分岐構造を有する高分子を添加すると分子末端などの相違が
核形成速度の増大をもたらすと知られている。本研究では、ポリ乳酸に対し、相溶で
分岐構造を有するポリオキシメチレンを少量添加した系において結晶化挙動を検討し、
異種高分子を添加した場合でも分岐分子添加が核形成促進に寄与することを明らかにした。



立命館大学大学院 生命科学研究科
高橋 一輝 殿


「全原子分子動力学シミュレーションによる高分子微粒子圧縮破壊時の
力学応答メカニズムの解明」


高分子微粒子に対する圧縮MDシミュレーションを行った。接触面積で定義した真応力
により、高分子微粒子の圧縮下での降伏挙動を初めて見出した。内部領域別の解析により、
微粒子は内部が硬く、表面が流動性を持つ領域特異的な力学応答を示すことが明らかになった.




第35回高分子加工技術討論会
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名古屋工業大学大学院 工学研究科

磯谷 健斗 殿

「エステル交換反応を架橋反応として用いた物性変換とビトリマー化」

OH基含有線状ポリエステルをチオール-エポキシのクリック反応により調製した。分子間エステル交換
反応を介した架橋形成をもとに、加熱条件により約700倍の弾性率範囲で物性変換が可能であった。
さらに架橋樹脂中でもエステル交換反応が活性化され、ビトリマーコンセプトに因んだリサイクル性が発現した.


滋賀県立大学大学院 工学研究科
太田 鈴菜 殿


「感温性高分子マイクロゲルのコロイド結晶化過程における転移挙動の解明」

コロイド結晶化については、主に固体分散系において様々な観点から実験・検討が行われていますが、
未解明な点も多くあります。本発表では粒径の揃った感温性高分子マイクロゲルを用いてコロイド結晶化の
転移挙動について検討を行いました。その結果、温度すなわち結晶化時の粒子体積分率によって形成
される結晶形が異なることが分かりました。さらに、粒子の拡散速度等によっては結晶後に結晶転移が
起こることも分かりました。



第34回高分子加工技術討論会
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東京工業大学 物質理工学院

木村 大輔 殿

「炭素繊維の小角X線散乱測定における情報科学的手法を用いた内部欠陥解析の検討」

大阪大学大学院 理学研究科
木村 彰吾 殿


「ポリ塩化ビニルゲルの電場応答」

電気応答性ポリマーの一つであるポリ塩化ビニルゲルについて,電場印加による屈曲挙動を定量的に評価した.
屈曲の最大変位角および変位に要する時間が,電場の増加関数となったことから,ゲル中のイオンの空間分布
変化が、ゲルの巨視的な変形と密接に関係していることが示された.



第33回高分子加工技術討論会
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東京工業大学 物質理工学院

木村 大輔 殿

「ポリアミド繊維の可逆的な熱収縮メカニズムの検討」

ポリアミド繊維の可逆的な熱収縮過程における非晶配向度の変化を測定し,非晶配向度の変化と比較して収縮量が
著しく小さいことを示し,従来提唱されてきたエントロピー弾性の変化による収縮ではないことを明らかにした.


滋賀県立大学大学院 工学研究科
永田 裕佳 殿


「ポリ乳酸/ポリオキシメチレンブレンドにおけるポリ乳酸の結晶化と高次構造」

ポリ乳酸(PLLA)/ポリオキシメチレン(POM)ブレンドでは,成分間の結晶化速度が大きく異なるため,
POMは少量成分であっても先に結晶化し,PLLAはPOMの結晶ラメラ間で球晶成長することがわかった.
結晶状態のPOMが先に存在することで,PLLAの球晶成長速度は低下するが核数は増加し,全結晶化速度は上昇した.


第32回高分子加工技術討論会
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滋賀県立大学大学院 工学研究科
金澤 暉 殿

「側鎖型液晶性−非晶性共重合体の液晶秩序における共重合組成の影響」

側鎖型液晶性高分子において、非晶性成分とのランダム共重合体による側鎖グラフト間距離の変化が、相転移挙動に及ぼす
影響を評価した。少量の非晶性成分を導入した系においては、相転移温度が低下しなかった。これは、小角・広角X線散乱実
験等により、非晶性成分導入に伴う相転移温度低下効果と、側鎖グラフト間距離とメソゲン基間距離との不整合の解消によっ
て生じるストレス緩和効果が相殺することによると結論付けた。


豊田工業大学大学院 工学研究科
岡本 祐樹 殿


「酸素濃度における間葉系幹細胞の軟骨分化:天然ゴムラテックス添加軟骨組織の構造と物性」
これまで我々は,天然ゴムラテックス(NRL)を生体組織に導入することによる骨組織再生の可能性を探索してきた.本研究では,
ヒト間葉系幹細胞の軟骨組織形成における構造と物性に対してNRL添加が与える影響ついて組織工学的な観点から研究した.



第31回高分子加工技術討論会
学生優秀発表賞
                
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名城大学大学院 理工学研究科
森川 寛之 殿

「バガス繊維の解繊処理と植物由来樹脂/バガス複合材料に関する研究」

環境問題への貢献が期待される植物繊維強化プラスチックにおいて、フィラーにバガス繊維を適用するため、バガス繊維への繊
維処理方法を検討した。不要物質除去を目的としたアルカリ条件下の処理において、低濃度の処理でセルロースの物性低下を
抑制しつつ、Na2Sを添加することで効果的な解繊効果が得られた。また、アルカリ処理に加え、酢酸を用いた処理によって繊維
をアセチル化することで改質し、疎水性樹脂との接着性を向上させる2段階の処理をバガス繊維に施すことで、繊維の解繊と改
質が両立されPA11/バガス複合材の引張特性が向上した。


滋賀県立大学大学院 工学研究科
西村 暢哉 殿

「環状分子がポリオキシメチレンの結晶化へ与える影響」

星型、環状、線状のような様々な分子構造の違いにより結晶化挙動が大きく異なることが知られている。我々は、線状高分子中に
環状分子が混在する系での結晶化挙動に着目をした。結晶ラメラ厚程度のサイズの環状分子を重合過程において副生するポリオ
キシメチレンを用い、線状分子に含まれる少量の環状分子が結晶化挙動へ与える影響を評価した。線状高分子と比較して、環状
分子を含むほど球晶生成数が増加した。これは核形成速度の増大を意味する。また、フィルムに成形し延伸をした際のクレーズの
生成しやすさは、環状分子含有量に依存することが確認された。


第30回高分子加工技術討論会記念大会
学生優秀発表賞
                
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東京工業大学 物質理工学院
中田 駿 殿


「ジフェニルスルフィド添加PMMAフィルムの伸長緩和過程における応力-光学挙動」


低分子化合物ジフェニルスルフィド(DPS)を添加したポリメタクリル酸メチル(PMMA)フィルムをガラス転移温度(Tg)以上で一軸延伸し、
応力-光学挙動の解析を行った。Tgより十分に高い温度ではDPS添加はPMMAの応力-光学係数の温度依存性に影響を及ぼさない
が、Tg近傍では、延伸過程では複屈折(n)の発生が抑制され正のnを示すDPSが負のnを示すPMMA分子鎖と共に配向することを
示し、緩和の初期過程ではnの緩和が抑制され DPSがPMMA分子鎖に優先して配向緩和することが示唆された。



豊田工業大学
岡本 祐樹 殿


「低酸素濃度における間葉系幹細胞の軟骨分化:天然ゴムラテックスの添加効果」

 最近,生体組織工学を用いて関節疾患の治療を目的とした軟骨組織の再生が注目されている.私は,天然ゴムラテックス (NRL: Natural
Rubber Latex)の有する生体組織再生能力とその機械特性に注目し,NRLを生体組織に導入することで高耐久性が付与された骨組織再生
の可能性を探索してきた.本研究では,血管がないため,常に低酸素状態にある軟骨組織を考慮して,1%酸素濃度環境下において,NRL
がヒト間葉系幹細胞(hMSC)の軟骨分化誘導におよぼす効果を遺伝子レベルの解析し,NRLの軟骨分化誘導の事実をより強固なものにす
ることができた.