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ハイテク・リサーチセンター整備事業 先端フォトンテクノロジー研究センター

ハイテク・リサーチセンター整備事業 先端フォトンテクノロジー研究センター

センターの概要

平成9年度:事業発足  平成23年度:継続選定
センター長:大石 泰丈

 

研究の目的と社会的ニーズ

■超オクターブフォトニクスプロジェクト

私立大学ハイテク・リサーチ・センター整備事業「超オクターブ光波制御プロジェクト」により創製した高非線形光導波路素材や新規光学活性イオン添加ガラス等のフォトニクスガラス素材および新規に開拓したフォトニクスクリスタルファイバ素子、微小共振器等の光素子化技術を基に、またそれをさらに発展させ、超消費電力ネットワーク技術構築に必要な光デバイスを光の位相、速度や量子状態の制御、広帯域スペクトル制御や超高速スイッチ等を可能にするイノベーションを実現することを目指し、以下の内容の研究を進める。さらに得られた成果をグリーン・ライフイノベーションへの展開にもチャレンジする。

 

(1)コヒーレント光の創生・制御のさらなる拡大深化の研究では、我々の開発した高非線形ガラスを用いたフォトニッククリスタルファイバ技術を基に高精度な分散制御やバンドギャップ構造による輻射場の制御も取り入れ、ガラス材料導波路素子による紫外から遠赤外域亘る超広帯域スーパーコンティニューム光の発生、波長変換に代表される光パラメトリック効果を利用した高効率光信号処理デ超低消費電力ネットワーク技術構築バイス、さらには量子情報通信に必要な相関光子対生成や単一光子光源の実現を目指す。

 

(2)応用および実用性検証に向けた取り組みでは、(1)での成果をMEMS技術と融合し、ケミカル・バイオセンシングへの展開を図り、研究成果の有効性を検証していく。また、光源素子や光パラメトリック素子のモジュール化も行い、システム実験に供せるよう完成度もあげ、情報通信システム中での有効性を検証できるようにする。さらに、開拓したフォトニクスクリスタルファイバ技術を駆使してその実現が求められている空間多重通信を可能にするマルチコアファイバの実現もチャレンジする。

 

(3)太陽光利用の取り組みでは、太陽光のコヒーレント光への変換に取り組む。もしこれが実用レベルになれば、光パラメトリック素子やコヒーレント光源の駆動に要する電力を低減でき、情報通信の省力化をさらに推進できる。また、太陽光を使った新たなエネルギーサイクル創出にも寄与できる。さらに、これまで研究してきた機能素材の新たなグリーン・ライフイノベーションへの展開として、太陽光による水素生成によるエネルギー創製や触媒作用を利用した環境浄化への応用も積極的に推進する。

■研究内容

1.新規構造の微細構造光ファイバ

高非線形ガラスを用いた微細構造光ファイバ作製法を開発した。また,新規ガラス素材も開発しコアとクラッドの組成の異なる,たとえば,テルライトガラスコア/フォスフェイトガラスクラッド,カルコゲナイドガラスコア/テルライトガラスクラッド等のハイブリッド微細構造光ファイバを世界に先駆げて実現した。この構造の微細構造光ファイバにより,高効率広帯域SC発生に必要な高非線形微細構造光ファイバ波長分散の制御を可能にした。下図に実現した微細構造光ファイバの構造例を示す。

 

2.超広帯域スーパーコンティニュームの発生

テルライトガラスとフッ化物ガラス中で発生するスーパーコンティニューム(SC)光をフィラメンテーションを利用して測定した結果、テルライトガラス(下図(a)参照)では赤外吸収端におよぶSCが発生することが確認でき、フッ化物ガラス(下図(b)参照)ではその全光透過領域をカバーする0.2μmから6μmに亘る5オクターブ以上のSC光の発生を確認することができた。3 dB帯域は1.15-4.76μmであり,20 dB帯域は0.39-7.4μmであった。また、励起パルスのSC光への変換効率はフッ化物ガラスでは約70%、テルライトガラスでは90%以上であった。
以上のように,テルライトガラスでは,赤外吸収端まで,フッ化物ガラスでは透過域全体に亘ってSCを発生させ得ることを明らかにし,広帯域SC発生に有効であることを初めて実証した。

3.太陽光励起ガラス利得媒質と太陽光励起レーザーの開発

太陽光励起レーザーは再生可能な太陽光を直接的にレーザー光に変換することができる。実用化に向けて変換効率, レーザー媒質の廃熱,ビーム品質などの課題が有り, ファイバレーザーの技術を用いれば, これらの課題の解決するものと考えられ, 私たちは太陽光に最適化した高効率のレーザー媒質の開発し, 数値シミュレーションによりダブルクラッドファイバを用いることでレーザー発振可能であることを明らかにし, 世界で初の自然太陽光を用いたシングルモードレーザー発振を実現した。今後, 太陽光励起ファイバレーザーの高効率化, 高出力化にむけて研究を推進する。

 

        

4.MEMSマイクロ流路デバイスと光ファイバの異種機能集積

マイクロ流路と、広帯域なスペクトルを利用できる光ファイバを組み合わせた、分光分析デバイスを提案する。

図[(a)マイクロ流路(横)と光ファイバガイド(縦)の交差部分。(b)光ファイバを固定した様子。(c)光ファイバとバイアススプリングの接触点付近。]のように、光ファイバの配置に、従来からの垂直壁を持つスプリングAと合わせて、側壁に逆テーパがあるスプリングBを新規導入した。ファイバを上からも押さえて、垂直と平行の両方向に精密位置決めする。逆テーパが無い場合に比べて光強度が約2倍得られ、水の透過スペクトル測定をデモンストレーションした。様々な計測応用の基盤となる。

5.レーザー分光法を用いた光触媒の開発

光触媒を用いると、太陽光を用いて水を水素に分解し、有害物質を無害化することができます。そのため、深刻な問題となりつつあるエネルギー問題や環境問題を解決することができると期待されています。この光触媒の反応活性は触媒に光を照射して生成した光励起キャリアーの再結合速度と反応分子への電荷移動速度の兼ね合いで決まります。したがって、反応活性を向上させるためには、これらの光励起キャリアーの挙動をよく理解する必要があります。我々は、時間分解レーザー分光法を用いてこれらの光励起キャリアーの挙動を調べながら、そこで得られた知見を元に、より高い活性を有する光触媒の開発に邁進しています。

 

   

 

参加研究室

光機能物質研究室

フロンティア材料研究室

マイクロメカトロニクス研究室

量子界面物性研究室

 

設備一覧

超高温&極低温真空紫外分光装置
超高温X線小角散乱測定装置
マグネトロンスパッタ蒸着装置
MCVD装置
ガラス母材作製装置
ファイバ線引き装置
超高温光散乱測定装置
超高温&極低温ラマン分光測定装置
FT-IR測定装置
非線形定数測定装置
超高温分光測定装置
UV可視分光測定装置
屈折率測定装置
光増幅特性測定装置
波長分測定装置
ESR
光交流法比熱測定装置