豊田工大Release
iPlazaのE-SUP活動「異文化トレーニング入門」レポート~"ちがい"を受け入れ、楽しむ~(6/2・16)
2025.06.26
異文化トラブルなどの英語文献でケーススタディ
「思考して言葉に変換する力」と「英語力」を同時に鍛えることを目的とした新しい取り組み
本学では、入学してから卒業まで継続して英語力向上に取り組める、「英語Step-Up Point制度(E-SUP)」を導入しています。 このユニークな仕組みを活用し、国内にいながらも海外出身者とのコミュニケーションの機会を得たり、異文化に触れて国際感覚を養ったりするなかで、自発的に英語学習に取り組み、相当な英語力を身に着け、自身が活躍できる世界を広げています。 |
英語力と異文化コミュニケーションについて研究をおこなっている市川研准教授(一般教育分野 外国語・英語)による、新たなE-SUPイベントが実施されました。
全5回で構成されるこの活動は、2回ごとに異文化トラブルに関する3つのテーマをそれぞれ取り上げ、英語でシチュエーションを理解したうえで自分の言葉で発言し、それぞれのケースへの理解を深めていこうという試みです。
対象は全学生で、英語力のレベルは不問。事前配布された文献に目を通し、音読できるように準備し臨むことが参加条件として求められました。
「英語でコミュニケーションする際に直面する、文化の違いによるすれ違いがテーマ」と市川先生が説明
「発言を求められないと発言しない文化」:あなたならどうする?
今回のテーマは、米国に留学した日本人学生が主人公である「The new student」。
留学先の授業中、現地学生が活発に議論を行うなかで、積極的に自分を表現することができず、クラスメイトから疎外されていると感じたことが主な内容です。
自分の考えを明確かつ直接的に相手に伝えることを重視する文化(=Low context culture)に対して、常に周りを気づかい、行間や背景、相手の表情など、非言語的な情報を読み取ることが重視される、いわゆる、"空気を読む"文化(=High context culture)。
多くの人が空気を読み合い、何も言わなくても耳を傾けてくれるという日本国内では通用するコミュニケーションの方法は、文化の違う米国では通用しないため、「考えがない」「議論に協力的でない」とみなされてしまいます。
そのため、日本人である自分に対して配慮がなかったという現地学生の態度が、日本人留学生にとっては冷たく思え、「無視されている」と感じてしまった、という体験記がもととなっています。
英語学習や海外へ興味を持つ学生やこの夏に語学留学を控えている学生も参加
異文化への理解不足から生じるトラブルについて、学生同士で話し合う
今回のケースを参考に、どうすればこういった異文化間の認識の違いを回避できるのか、今後どういった行動を示していけばいいのか、といった議題について意見が交わされました。
参加した学生からは、「とにかく話し、意識して発言する」といった意見のほか、「あえて反対意見を提示して議論を深める」、「友達を作って話しやすい環境を整える」など、それぞれが主人公の立場に身を置き、どうすれば状況を打開できるか考えを深め、発言していました。
ここではスラスラ発言できなくても問題なし。英語の授業とは少し違うスタイル
「外国に留学することは、日常とは異なる環境を求めて留学するということ。全部に従う必要はないけれど、現地の環境や文化の違いを理解したうえで楽しむ力が求められる」と話す市川先生。
その国の文化や歴史だけでなく、米国の大学の仕組みや制度の違いなど、さまざまな要因により自分が「理解できない」状況に陥ったときに、どのように考えればよいかについて、「まずは"違う"ということを理解することが重要。留学などで現地を訪れた際は、これまでの概念は一旦置いておいて、現地のメインストリームに乗るのも一つの手段」とアドバイスがありました。