豊田工大Release
山口眞史名誉教授「紫綬褒章受章記念講演会」を本学で開催~超高効率太陽電池に関する先駆的研究開発について~(6/26)
2025.07.14
令和7年春の紫綬褒章を受章した山口眞史名誉教授が登壇
山口名誉教授が紫綬褒章を受章したことを記念し、6/26に豊田喜一郎記念ホールにおいて「紫綬褒章受章記念講演会」を開催
現在の宇宙用太陽電池の主流である高効率インジウムガリウムリン(InGaP)系多接合太陽電池の実用化に大きく貢献した功績が評価された、この度の受章。今回の講演会では、半世紀にわたる研究の歩みを振り返りました。
- 紫綬褒章受章の記事はこちら
さまざまな再生可能エネルギーの中で最もポテンシャルが高いとされている太陽光エネルギー。
このエネルギーが持つ可能性について、さまざまなデータを用い必要性や重要性について解説。
研究者としてスタートしたNTT 電気通信研究所での青色発光ダイオードの開発のお話から、1994年に本学を新たな研究活動の場としたエピソードなど、50年を超えるこれまで歩んだ道を振り返りました。
その中で、太陽光発電に関する世界的に著名な4つの賞
「European Commission Becquerel Prize(2004)」
「IEEE William Cherry Award(2008)」
「PVSEC Award(2011)」
「WCPEC Award(2014)」
すべてを受賞したという世界初の功績、
およびNASAやJAXAなどの公的研究機関やシャープ、大同特殊鋼などの企業と協力した研究の実績などを紹介しました。
講演の最後には座右の銘である孔子の言葉、 「知之者不如好之者,好之者不如楽之者(これを知る者は、これ好む者にしかず。これを好む者は、これを楽しむ者にしかず)」 を紹介し、「研究を楽しんでください。研究で大きな壁にぶつかっても、趣味のように楽しいと思えるなら、夢中になれるはず。楽しみながら困難を乗り越えていってください」と、学生に向けて、期待が込められたメッセージを送りました。
これまでの多くの研究仲間との思い出とともに研究活動を回想
関連企画としてJAXA宇宙科学研究所の豊田裕之准教授が講演
関連企画としてJAXA宇宙科学研究所の豊田裕之准教授が講演
豊田准教授には、「インジウムガリウムリン(InGaP)系多接合太陽電池が実現したJAXA宇宙科学ミッションの軌跡と進化」をテーマに、宇宙科学ミッションと山口名誉教授が開発に携わった超高効率太陽電池の関係性についてご講演いただきました。
高い放射線耐性と優れた温度特性を持ちながら、素材としての柔軟性が高く軽量で、 探査機を厳しい環境下で動かし続けるために必要不可欠な技術だと超高効率太陽電池の有用性について解説。
日本の宇宙用太陽電池開発の歩みに大きなインパクトをもたらしたと語りました。
ほかにも、世界初のピンポイント月着陸が成功した経緯や、土星の探査や火星着陸ミッションといった今後のJAXAの展望など、貴重なお話を聞く機会となりました。
山口名誉教授の業績をたたえるとともに、今後のますますのご活躍に期待しています
紫綬褒章受章の報告も行われ、増田義彦理事長ならびに保立和夫学長など関係者と懇談