
情報記録工学
スピンエレクトロニクス、磁性薄膜、磁気記録、光・熱・磁気材料、磁気イメージング
超省電力フェリ磁性スピンエレクトロニクスの研究
研究背景
IoT、ビッグデータ、人工知能を使って第4次産業革命を推進するためには巨大な電力が必要となる。これは従来のエレクトロニクスにおいてデータを電荷で蓄え、この保存に巨大な電力を必要とするためである。そこで、データ維持に電力不要な磁石(スピン)を使うスピンエレクトロニクスが注目されている。当研究室では、磁化の小さなフェリ磁性材料を用いた安価で超省電力な磁性細線メモリやロジックの研究やスピン発電の研究を推進している。
研究テーマ
研究テーマと成果
磁性細線メモリではデータは磁壁に蓄え、磁壁をパルス電流で駆動する。従来、この記録材料には磁化の大きなフェロ磁性材料が使われていたが、駆動電力の大きさが問題となっていた。そこで、我々は光磁気ディスク製品に使われて実績のある磁化の小さなフェリ磁性材料を使って磁性細線メモリを作成してみたところ、駆動電力を10分の1に低減することができた。また、駆動速度も10倍に高速化できた。細線構造を工夫すると下図に示したようにロジック駆動も可能であり、省電力で高速な人工知能への展開も期待できる。
(上図)様々な磁性細線における磁壁駆動に必要な臨界電流密度比較
(下図)フェリ磁性細線でのANDロジック演算回路およびその演算結果
保磁力が大きな希土類・遷移金属フェリ磁性垂直磁化薄膜の作成
磁化の大きなフェロ磁性薄膜では垂直磁化薄膜を作ることが難しく、垂直磁化膜が得られたとしても保磁力が小さいため応用展開が難しい。しかし、当研究室が経験豊富とする希土類・遷移金属フェリ磁性薄膜であれば、保磁力が大きく安定な垂直磁化膜を容易に得ることができる。これはミニディスク(MD)や光磁気ディスク(MO)として長年データ保存デバイスとして実績を有しており、安心してスピンエレクトロニクスへの応用展開ができる。
磁性細線作成方法比較
(a)従来の半導体プロセスを用いた作成方法
(b)豊田工大提案の安価で簡易なナノインプリント磁性細線作成法
スマート情報技術研究センター活動報告
- 2022年度シンポジウム概要
- 2022年度シンポジウムでの活動報告「機械学習を利用した 磁気パラメータの推定」