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システム光波工学

システムフォトニクス、光ファイバ神経網技術、痛みの分る材料・構造の為の光技術

光デバイスや光波の物理を熟考して斬新な機能を有する光システムを創成する

研究背景

フォトニクスデバイスや光波の物理を熟考して、斬新な機能を有する光システムを構築するための研究を行っています。光ファイバに加わる伸縮歪を数mmの空間分解能で分布計測できるシステムや、光波の干渉特性を自在に合成する独自技術による光センシング・光情報処理システムの研究などです。この研究領域を、「システムフォトニクス(Systems Photonics)」と名付けました。「えッ、そんなこともできるの!?」、と驚いて頂ける「手品のような技術」を、提案し、実現し、社会で活用して頂けたら嬉しい、と思っています。システムと言っても、通信システムのような大型のものではなく、半導体レーザや光ファイバといったフォトニクスデバイスを要素とした比較的小柄なシステムの創成が仕事です。しかし、ただのデバイスの組み合わせではありません。新たな機能を具現するための「アイディア」が要です。以下に示すように、「痛みの分かる材料・構造の為の光ファイバ神経網」の研究などを進めています。

痛みの分る材料・構造の為の光ファイバ神経網技術の研究

当研究室のオリジナル技術である「光波コヒーレンス関数の合成法(SOCF: Synthesis of Optical Coherence Function)」を活用して、新たな「痛みの分かる材料・構造の為の光ファイバ神経網技術」の開拓研究を進めています。SOCF技術は、連続光波の干渉特性を自在に合成・制御できる独自の技術です。レーザの伝搬方向に沿って後方に分布的に反射・散乱されて戻ってくる光波から、ある一点で反射した成分だけを観測したり、分布的反射・散乱光に伝搬距離に応じて重みをつけた積分値を求めたり、あるいは分布状況を表示したり、できます。この技術を基盤に、分布型光ファイバセンシング技術や、多点型光ファイバセンシング技術を開拓しています。

光ファイバ中の自然ブリルアン散乱による分布型歪・温度センシングの研究

当研究室のオリジナル技術である「ブリルアン光相関領域反射計測法(BOCDR: Brillouin Optical Correlation Domain Reflectometry)」の機能・性能の向上を図る研究をシミュレーションと実験を並走させつつ展開しています。BOCDR法は、光ファイバ中の全点で生じる自然ブリルアン散乱を位置選択的に測定する独自技術です。光ファイバへはその一端から光を入射すればよく、両端から光を導入するBOCDA法より簡単なシステムです。BOCDA法に比べて信号強度は弱くなりますが、光ファイバが破断した場合でもその位置までは測定でき、この点を重要視する用途があります。最近の実験で、5,280m長の被測定光ファイバに沿った歪の分布計測において、3.95cmの空間分解能を達成しました。光ファイバ長と分解能の比は134,000となり、この値はBOCDR法での世界最高の性能です。BOCDR法では、光ファイバに沿う分布情報が得られるだけではなく、任意の複数の箇所だけの情報を取得することも出来て、複数の有限箇所での歪量の時間変化を同時に高速測定できるユニークな機能も有しています。これを「ランダムアクセス機能」と呼びます。

光ファイバ中の誘導ブリルアン散乱による分布型歪・温度センシング

当研究室のオリジナル技術である「ブリルアン光相関領域解析法(BOCDA: Brillouin Optical Correlation Domain Analysis)」の機能・性能の向上を図る研究を展開しています。BOCDA法は、連続光波の周波数、位相、そして強度を適当な波形で変調することで、光ファイバに沿って位置選択的に誘導ブリルアン散乱を発生させるユニークな技術です。光ファイバに沿ったブリルアン散乱の分布を測定でき、この散乱の特性変化から、温度や歪の分布情報が分かります。他の手法では果たせない㎜オーダーの空間分解能や高速測定が可能な技術で、既に測定器としての試作も進んでいます。BOCDA法も、BOCDR法と同様に、「ランダムアクセス機能」を有しています。

光ファイバ中の誘導ブリルアン散乱を基盤とした多機能センシング技術の研究

BOCDA法を基盤として、温度と歪の同時・分離・分布センシングの為の原理も発明し、その機能実証にも成功しています。航空機等の構造物に光ファイバを神経網のように張り巡らせて、構造物に沿う歪や温度の分布を知り、その健全性診断を可能にする「光ファイバ神経網」を実現する技術です。ここでは、光ファイバ中の誘導ブリルアン散乱に付随して形成される屈折率型回折格子である「ブリルアンダイナミックグレーティング(Brillouin Dynamic Grating: BDG)」も活用します。BDG自体も、本研究室で提案・実証したものです。ブリルアン散乱の特性とBDGの特性の双方をBOCDA法によって分布測定することにより、温度と歪の分布を同時に分離して得ることができます。このシステムをBDG-BOCDAシステムと呼びます。最近、これら技術の原理を示す基本式の導出、BDG特性の光による制御、空間分解能の向上技術、さらに新たな分布測定原理の提案・実証にも成功しています。