研究内容

概要

フォトニクスデバイスや光波の物理を熟考して、斬新な機能の光システムの構築を目指しています。本研究領域をシステムフォトニクス(Sytems Photonics)と命名し、 「えッ、そんなこともできるの!?」と驚いて頂ける「手品のような技術」を提案・実現して、社会で活用して頂けたら嬉しいと思っています。 これまでに光ファイバに加わる伸縮歪を数mmの分解能で分布計測できるセンシングシステムや、光波干渉特性を自在合成できる独自技術による光センシング・光情報処理を行なっています。


痛みのわかる材料・構造のための光ファイバ神経網技術

光ファイバ内の光波を制御することで、ファイバに加わる歪、側圧、振動、温度などの位置分布をファイバに沿って連続的に測定することができます。 そのため光ファイバを構造物に神経網のように張り巡らせることで、崩壊などの危険の事前検知が可能になります。 こうしたスマートストラクチャによる安全社会に向けて実用化を目指しています。

歪や温度の変化の計測には光ファイバ中で生じる非線形光学過程であるブリルアン散乱(Brillouin scattering)を利用します。 ブリルアン散乱は光波と音響波の相互作用によって生じ、散乱光は音響波の速度に従って典型的に約11 GHzドップラーシフトします。 この周波数シフト量は屈折率に対し線形に変化するため、周波数シフト量から温度や歪などの変化を屈折率を通じて計測することができます。

分布計測を行うにはブリルアン散乱を位置選択的に制御する必要があります。当研究グループの独自技術である相関領域法では、 光波の干渉特性を制御することで、従来の時間領域法では困難であったmmオーダーの空間分解能で~kmの測定範囲を実現しています。 このような10^6クラスの測定点の実現は、従来の多点型センサでは非常に困難でした。