豊田工業大学 電磁システム研究室

電気エネルギーに対する時代認識

  • 21世紀における新しい技術課題として、地球環境の改善・維持向上があり、環境負荷低減のためにも、エネルギー問題は、我が国、人類にとって早急に解決しなければならない重要な課題である。
  • その中でも特に電気エネルギー分野では、電気利用対象の拡大(電気自動車をはじめとする国内エネルギー消費の3割を占める輸送機関の化石エネルギーから電気へのシフト、また材料プロセスでの電気エネルギーの研究の進展)、発電種類の増加(風力・太陽光発電)、およびそれに伴う電源系統不安定要因の増大(負荷変動+発電変動)といった新しいパラダイムシフトを迎えていると考えている。
  • そこで、本研究では、 電磁気エネルギーのパワーエレクトロニクス分野の研究として機器・利用・材料の融合デザイン技術 をコア(下図参照)に、以下のごとき パワーエレクトロニクス分野の材料利用・負荷低減、応用といった研究課題 を遂行していく。
研究課題


1. パワーエレクトロニクス分野の材料利用・環境負荷低減技術の研究

  • パワーエレクトロニクス分野の電気機器および電力変換回路では、磁性体およびSi・SiCといった材料が使用されているため、その材料特性を活かした機器、回路を組めば、更なる高効率・環境負荷低減技術の実現が期待できる。
  • そのために、たとえば電気機器の場合だと、材料から電気エネルギー変換技術まで一貫した評価方法を確立すべく、 磁区構造(ミクロ)・多結晶体(メゾ)・電気機器(マクロ)といった磁性体および半導体のマルチスケール解析モデル を構築していき、電気機器そのものの特性向上を図ることを考える。
  • 将来のパワエレ素子といわれているSiC利用の回路技術も同様に展開できる。
  • 得られた成果は、電気自動車のモータおよび風力の発電機に適用展開し、世界最高レベルの高効率機器の試作更には、実機展開(例えば製鐵所内など)を考えている。

2. パワーエレクトロニクス分野の利用技術の研究

  • 電磁気エネルギー制御技術であるパワーエレクトロニクス分野では、モータをはじめとした電気機器応用に留まることなく、材料プロセスおよび電気自動車といった新たな展開が現在進展している。そこでは、適用対象の目的に合わせてエネルギー制御技術を利用すべきであるが、適用対象は、電磁場だけではなく、力学、流動、温度等のいくつかの物理現象から構成されるマルチフィジカルモデルといえる。
  • そこで、電磁・流動・伝熱・凝固・品質・結晶成長を連成解析したマルチフィジカルおよび多剛体力学系の解析モデルを構築し、電磁エネルギー制御の方法を研究・評価する。
  • 得られた成果は、材料プロセスへの展開だけではなく、電気自動車の走行特性評価に使用することを考えている。