【工学部 先端工学基礎学科】モノづくりAIとは
モノづくりAIとは?
21世紀は「データの世紀」であり、センサー群やインターネットから採取される大量のデータは個人・企業・国家の判断、戦略を左右します。その意味で、現代におけるデータは石油にも比す重要な資源と言えます。
こうしたデータの重要性は、自動車製造などのものづくりの世界においても例外ではありません。データを扱うための学問、技術である、データサイエンスや人工知能(Artificial Intelligence, AI)は、ものづくりの現場においても必要不可欠な技術になりつつあります。例えば、AIによる画像処理は、検品の自動化を目的としていち早く製造の現場に導入されました。IoT技術との組み合わせによる異常検知システムは、製造ラインの生産性向上にきわめて有益です。すなわち、これからのものづくりシステムは、AIとその背景にある大量のデータ(ビッグデータ)の存在を前提として、それらとの有機的な結合体として設計・構築していく必要があります。
製品自体もデータを扱うソフトウェアとハードウェアの有機的結合体として設計される必要があります(ソフトウェアファースト)。自動運転機能を備えた自動車、AIにより環境に応じて動作を最適化する空調機器などはその例です。また、AI技術を利用して機能する何らかのソフトウェアも設計物として捉えることができます。さらには、設計自体もAIの援用による高度化が進められています。
これらの、ものづくりを実現する生産設備や、ソフトウェアを内含するハードウェアやソフトウェアそのものを広い意味での設計された人工物、すなわち「モノ」と捉え、それらの高度化を志向するデータサイエンス・AI技術を「モノづくりAI」と呼びます。
データサイエンス・AIに関するリテラシーは、情報技術に関わる人材だけに必要な知識である、とはもはや言えません。本学ではその重要性に鑑み、データサイエンスを工学の基礎学術の一つと位置づけています(カリキュラムポリシー参照)。その達成のための一つの施策として、2022年4月から、モノづくり志向型AI教育プログラム(通称、モノづくりAI)がスタートしました。本教育プログラムを通じて、AIを内含したものづくり、AIの利活用によるものづくりの高度化を実現できる技術者・研究者、つまり、「モノづくりAI人材」の育成を目指します。