豊田工業大学

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難環境作業スマート機械技術研究センター

センターの概要

平成25年度:事業発足   
センター長:成清 辰生

研究の目的と社会的ニーズ

難環境とは、(A)高温や有毒ガスのために、機械とそれを操作する人間が、作業はおろか、留まることも困難な環境を意味するが、同時に、(B)その場の状況が把握し難く、情報の不足のために作業困難になる環境を意味する。そうした難環境は、火災や震災現場に加え、溶鉱炉や海底油田などの生産現場、月面や細胞の内部など学術探索の最前線など、広く存在する。このため、本研究プロジェクトでは、 (a) 難環境対応の素材や素子をナノ技術を礎に開発、(b) 難環境の認識と推定に有効な情報技術を開発することで、(c) 難環境に対応する機械技術を確立し、社会の安全・安心の確保や学術の発展に寄与する難環境作業スマート機械の開発を目的とする。

本研究で開発される難環境作業スマート機械の高度環境認識・適応技術は、公共インフラ施設における自動検査・修復作業機械および災害救助ロボットの基盤技術の開発につながる。特に、大震災の可能性が指摘されている東海地方においては、これらの技術開発は喫緊の課題である。また、真空環境極微操作・計測システムは、立体視を併用することで宇宙での加工法やナノ構造評価による素材開発を飛躍的に進展させることができる。

研究課題・テーマ

震災・事故現場などの難環境では、膨大な数の点検・修理個所、複雑に入り組んだ構造、障害物および高温などのため、環境の把握や移動すら困難になる。このような環境で作業する自律移動作業ロボットや自動検査ロボットには、高度な環境認識能力と環境適応能力が求められる。またそのためには、真空極微環境でのマイクロ・ナノ操作・計測技術が必須である。そこで、本研究プロジェクトでは、安心・安全な社会の構築と先端科学技術の発展に貢献することを目的とし、(I)過酷環境に耐える素材・アクチュエータ・センサ素子をナノ材料技術を礎に開発するとともに、(II)状況把握が困難な環境を賢明に認識するための情報技術も開発し、(III)それらの要素技術を統合して震災・事故現場での救助・復旧作業に高度な適応能力を発揮する難環境作業スマート機械を開発する。このため、次の課題に重点を置き、相互に連携・協力し研究を進める。

<構想概略図>

(1) 難環境認識・推定のための情報技術の開発
外部情報を活用することによる頑健な機械学習技術の開発
難環境下では、不完全情報に基づいて判断する必要性が生じる。そこで、学習データに加えて、大量の教師なしデータや背景知識を活用することにより、不足する情報を補完し、頑健な判断を可能にする機械学習技術を開発する。
グレブナー基底を用いた通信データ欠損処理技術
圧縮センシングやL1ノルム最小化、また可換環論やグレブナー基底などを応用し、劣悪な環境下や深宇宙探査においても正しい情報を送受信できる技術を開発する。


不完全情報に対する機械学習技術


DFT/IDFTによる符号化・復号化

難環境において探査のためセンサ統合技術の研究と開発
  • 探査システムナビゲーションのため環境の感知と認識技術
  • センサデータ処理、特徴抽出と情報融合
  • 計測制御のためデータ収集センサプラットフォームの開発


センサ統合プラットフォーム

(2) 難環境作業のための機械駆動技術の開発
難環境において探査・加工作業を実現する機械制御技術の開発
新しい先端的な理論を研究・開発するとともに、環境認識技術およびセンサ・アクチュエータ技術を統合し、難環境での探査・加工作業を実現する機械制御技術を開発する。
月惑星探査や微細作業のための小型マニピュレーション装置の開発
  • 微細作業用マニピュレータ
  • 真空環境下における加工技術
  • 超精密位置決めのためのアクチュエータ
  • 難環境対応機械を製作するための加工技術


未知環境対応作業機械システム


超高真空対応ワイヤソー切断装置

未知環境対応創発機械システムの開発(難環境作業機械の最適設計法の開発)
高温や高荷重、高加速度等の高負荷や異常荷重の作用する難環境下で作動する機械や構造体を対象に、その設計支援のための構造最適化理論と最適化システムの研究・開発を行うと共に、その難環境機械への応用を行う。
難環境で作業を行う機械システムの最適設計技術の開発
  • 頑健性、適応性、柔軟性の高い機械システムの最適設計法・最適制御法の研究
  • 不完全・不確実な環境情報に基づく機械システムの行動計画法の研究
  • 小型、軽量、高信頼性実現のためのコンプライアントメカニズムの難環境作業スマート機械システムへの適用


骨組構造体の高剛性ホモロジー設計


難環境作業機械システムの最適設計

(3) 難環境素子・素材のためのナノ材料技術の開発
真空環境極微操作・計測を用いたナノ材料の評価とナノ加工に関する研究
真空という難環境下で作動する極微加工・計測システムを開発し、これを用いて、耐環境材料の開発や物性評価、カーボンなどの先進材料を用いたナノ加工技術の研究を行う。
難環境素子・素材のためのナノ材料技術・加工プロセスの開発
難環境でも使用可能な表面を有するアクチュエータ材料を開発、および難環境でも加工が可能な切削・研削加工ツールを開発する。


ナノ電気計測(左)とナノサイズの溝加工


研削加工ツールを創製する
SPS装置

難環境・高周波環境において実現するモータ駆動システムの開発
高温な難環境や高周波環境においても動作する高効率はモータ駆動システムを試作し、実測評価することを開発する。
難環境での作業をサポートするマイクロセンサ・アクチュエータの開発
難環境での作業をサポートする、各種のマイクロセンサ(照明光の無い暗所でも対象物を検出する非冷却赤外線ディテクタ、意識させることなく作業員の状態を把握する呼吸センサなど)、およびマイクロアクチュエータ(真空中や高温で動作するアクチュエータ)を研究・開発する。


難環境・高周波環境対応モータ


赤外線センサの1次元アレイ

半導体ナノ構造を用いた超高感度光センサの開発
難環境での探査・作業に資する高性能光センサを開発する。可視および赤外光領域で高い感度を持つ光検出器単体とそのアレー化センサの実現と性能改善を図る。
難環境において高性能・高機能を発揮する半導体デバイスの開発
ワイドバンドギャップ半導体を用いた高耐圧高出力トランジスタと量子効果による低消費電力高感度センサを開発する。


ナノ粒子とナノ細線を用いた光検出器


高耐圧高出力トランジスタの構造

参加研究室

知能数理研究室

知的情報処理研究室

情報通信研究室

機械創成研究室

固体力学研究室

制御システム研究室

設計工学研究室

表面科学研究室

材料プロセス研究室

電磁システム研究室

マイクロメカトロニクス研究室

ナノ電子工学研究室

電子デバイス研究室

 

設備一覧

・視触覚統合型運動・状態把握システム

・難環境対応モータ駆動評価システム

・真空環境極微操作・計測システム用立体電子顕微鏡

・素子・素材開発用ツイン型ナノ計測システム

 



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