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豊田工業大学 研究センタースマート光・物質研究センター

スマート光・物質研究センター

2016年度設立 センター長:大石 泰丈

【表面科学研究室】光をプローブとした高感度表面計測法の研究開発

教授 吉村 雅満、准教授 原 正則

主な研究内容・成果

①探針増強ラマン散乱(TERS)測定法の開発

AuやAgなどの金属薄膜で被覆した原子間力顕微鏡(AFM)のカンチレバー先端にレーザー光を照射すると、探針先端において局所表面プラズモンが励起されて極局的に強い電場が発生する。この電場により、探針先端近傍のナノスケールサイズの領域から増強されたラマン散乱光が発生する。これを探針増強ラマン散乱(TERS)と呼ぶ。TERSにより、光の回折限界をこえたナノスケールでのラマン分光測定が可能となる。グラフェンやカーボンナノチューブなどに代表されるナノ材料は、欠陥のサイズや分布、種類などによってその特性が大きく変化することが知られており、特性の制御やデバイス開発には欠陥のナノオーダーでの評価が重要となる。本研究室では、TERSのさらなる高感度化および測定の再現性向上を目指し、TERS用探針および測定法の開発を進める。

TERSの模式図

TERS用探針のSEM像

グラフェンのTERS像

 

②高感度分光測定用の試料基板の作製

表面増強ラマン散乱(SERS)は、AuやAgなどの金属微粒子にレーザー光を照射した際に励起される局所表面プラズモンによる強い電場により、金属微粒子表面上に吸着した分子などのラマン散乱が増強される現象である。SERSは、高感度に単分子測定や時間分解測定が可能なため、古くからラマン分光測定法において用いられている。SERSの特性を示す金属微粒子の中では、Agが最も増強効果が大きいが、その化学的な不安定性により、一般にはより増強効果の小さいAu微粒子がSERSに使用される。本研究室では、Ag表面を化学的に安定なグラフェンで覆うことにより、高感度かつ安定性の高いSERS用基板の開発を進めている。

SERSの原理

SERS用試料基板モデル

SERS基板のAFM像

 

③In-situ分光測定システムの構築

電極材料の性能向上には、電極表面上における反応挙動の詳細な解明が重要となる。電極の状態やその表面上での反応は電位により異なるため、電極反応の解明のためには、各電位における電極表面の状態のその場観察(in-situ測定)が重要となる。これまで、非破壊での材料分析が可能な分光測定法は、その場観察においても広く用いられてきている。本研究室では、高感度な分光分析技術をその場観察に組み合わせた測定システムを構築することにより、より高感度かつ高空間・時間分解能での分光測定を可能とする。これにより、電極表面反応の現象解明につなげると共に、新規材料開発の指針となる材料・表面の特性を明らかにしていく。

In-situ測定の模式図

In-situ測定用PEFC

PEFCの酸素還元反応