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エネルギー材料

熱電材料、熱ダイオード、熱スイッチ、電子輸送現象、電子構造、熱輸送

省エネルギー社会の構築に寄与する機能性材料の創製

研究背景

エネルギー材料研究室では、省エネルギー社会の構築に寄与する機能性固体材料の開発を行っています。固体内の電子のエネルギー分布、運動量分布、電子散乱、フォノン分散、フォノン散乱に関する情報を計算科学の手法(バンド計算、クラスター計算、各種シミュレーション)と先端的測定手法(高分解能角度分解光電子分光、赤外分光、X線発光・吸収分光、共鳴光電子分光、軟X線光電子分光、硬X線光電子分光)を駆使し、それらを機能性固体材料の開発に利用していることが研究の特徴です。

熱電物性を支配する因子の解明とその因子の制御指針の構築

エネルギー材料研究室では、固体物理学の知識を活用して、有用な機能性を生み出す材料の設計指針を構築する研究を行っています。 また、得られた設計指針を用いて、革新的な機能性材料とデバイスを創製する応用研究も行っています。

教科書では説明できないような物性の特徴を生み出す物理的機構を、良質な試料(単結晶、多結晶、粉末、リボン、薄膜)の作製、精密構造解析、先端計測や計算科学を使った電子構造解析・格子振動解析などを駆使して解明する基礎研究を行っています。特に、電子間相互作用、電子と集団励起との相互作用、磁性などが電子物性と熱物性に及ぼす影響などを調べています。これらの基礎研究により、物性を支配する因子を明らかにすることや、物性制御指針を構築することができます。

安価で無害な元素から構成される高性能熱電材料の創製

熱電材料とは、熱電現象(ゼーベック効果およびペルチェ効果)を用いて、熱と電気を相互に変換する材料です。ゼーベック効果を利用すると、熱から電力を生み出すことができます。この技術を使うことで、無駄に捨てられている排熱から電力を回収できます。化石燃料の枯渇問題、その燃焼に伴う地球温暖化ガス排出問題、東日本大震災に端を発する電力の価格高騰などの諸問題を大きく緩和させる技術として注目を集めています。しかし、発電効率の問題と利用される材料の価格や危険性の問題から、熱電発電技術は広く普及するに至っていません。安価で安全な材料を用いて、高い変換効率を有する熱電発電素子の開発が強く望まれています。

エネルギー材料研究室では、教科書的な数式において使われている電子構造に関する近似に問題があることに着目し、微細な電子構造を評価することで高性能熱電材料の開発につなげる研究を行っています。これまでに、熱電材料を高性能化させる設計指針を提案するとともに、提案した指針に基づき安価で環境に優しい合金系で、既存の熱電材料に匹敵する性能を示す熱電材料を創製することに成功しました。さらに、現在は、設計指針を高度化するとともに、既存の材料の性能をはるかに凌駕する熱電材料の開発に取り組んでいます。

固体熱ダイオード,固体熱流スイッチング素子の開発

省エネルギーの観点から、廃熱を必要な箇所に運び有効利用する考え方(熱マネージメント)が注目されています。熱流を任意の方向のみに流すことが可能な素子[熱整流材料(熱ダイオード)、熱スイッチ]を作成することができれば、熱マネージメントにおいて中核的な役割を果たすことが期待されます。

エネルギー材料研究室では、フェルミエネルギー近傍の状態密度に顕著なエネルギー依存性がある場合に、電子熱伝導度の顕著な温度依存性が現れることを明らかにしました、また、この異常な電子熱伝導度を利用することで、高温で熱伝導度が1桁以上変化する材料の開発に成功し、それを用いて、2倍以上の整流効果を示す熱整流材料の開発に成功しています。さらに、上述した研究を発展させ、現在、熱整流材料の性能をさらに向上させる研究と、熱流を調整可能な新しい素子(熱スイッチ)の研究を行っています。

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